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検索型の総合古書店

総合古書店に発見型と付けたのは、発見型ではない総合古書店もあるから。各種の本を一つの店にまとめて、その中から意外な本に出会ってもらおうというのが、発見型である。

それに対して、「日本の古本屋」やアマゾンなどの検索サイトにだけ出品する検索型の総合古書店もある。

検索サイトでは常に価格競争が起こっているので、利益が出ないように思える。普通の商売ならそうだ。大資本がスケールメリットを出して、勝ち抜いていくぐらいしかない。しかし、産地直送などが可能なら、普通の流通経路を通さないので、仕入れで利益を出す事ができる。

古本屋の場合は、お客さんから仕入れた本を、市場を通さずに直接売る業者が、この産直にあたる。つまり、売値は普通だが仕入れ値で価格競争から脱出しているのだ。

買い取り店としてだけ、店のアイデンティティを持っているので、買取専門店に近い形態である。
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開業資金はどれぐらい必要になるか

開業資金はどれぐらい必要になるか。

商売を始めるのには元手が必要である。私は経営を長く維持するためには、経営規模をよく考える必要があると言っている。事業には最適の経営規模があるのだが、たいていの人は小さすぎる規模で経営を始めてしまう。

元手となる資金が足りないから思うほどの規模で始められないのは仕方ないとしても、のちのち最適規模に至る計画は必要だ。いやそれ以前に、事業を維持できる最低の規模というものがある。

古本屋をやるためには数万冊の在庫が必要だと言うことを前に書いた。本の仕入れの方法は様々で一概には言えないので、まずは入れ物の方から考えよう。

不動産物件を賃借するコストは、店舗にするか、通販の基地としての事務所にするかによって大きく違う。ここでは、よりハードルの高い店舗の場合を中心に考えてみる。

まず、店の広さだが、15坪ぐらいは欲しいところだ。間口が広くて形がすっきりしていれば10坪ぐらいでも何とかなるかもしれない。これは、棚を2列並べて回遊型の店舗を作るにはそのぐらい必要だということだ。陳列したものを勝手に手にとってもらう形の店舗は、店員に干渉されずにお客さんが自由に動き回れる回遊型の店舗が最適なのだ。

15坪(約50平米)のお店を借りと、だいたいいくらぐらいかかかるか。

家賃が坪あたり2万円とすると、15坪で月に30万円。家賃は前払いだから、賃貸借契約の日から日割りでその月の分を払わなければならないし、月末までには来月の分も払わなければならない。開業までに最低二月はかかるとすれば、60万円。

補償金は物件によってまちまちだが、10ヶ月分とすれば300万円。はじめの情報で言われた金額は交渉の余地があることがけっこう多い。

不動産屋さんに払う手数料と大家さんに払う礼金が各一ヶ月。

内装費も、その部屋が前に何に使われていたかによってずいぶん変わる。物販の店のあとなら照明を増やすぐらいで済むだろうけれど、新築だったりすると、床や天井、道路に面した面の壁やドアも自分で付けなければならないこともある。(こういう物件を建物の骨組みだけという意味でスケルトンという)。なるべくなら内装費のかからない物件を探したいところだ。

業務用の空調は電源からして違うし、かなり高価だ。電源の設備から付けると相当な出費になる。大家さんに建物の付帯設備として付けてもらうように交渉しよう。もしだめなら、15坪ぐらいまでなら、家庭用を複数付けて済ますこともできる。

必ず必要になるのが本棚だ。新刊書店などによくあるスチール製の本棚で、80センチ幅の壁に付けるタイプの棚が5万円から10万円ぐらいする。両面が使える「島什器」はその1.5倍ぐらいだ。15坪の店なら30台から40台ぐらいの棚が必要になる。200万円から400万円ぐらいかかることになる。

もちろん普通の古本屋は什器にこんなにお金をかけることはできない。私の場合は倉庫で使う「物品棚」を島什器の代わりに、壁面には家庭用の「クールラック」をガムテープでつないで補強して使った。店の外に置いた均一用の棚は新刊書店が捨てたものを拾ってきたり、ベニヤを使って自分で作ったりした。すべて自分で組み立てたので設置費はなし。全部で50万円ぐらいだったのではないだろうか。

忘れがちなのは、当面の生活費だ。かっこうよく言えば運転資金。商品を仕入れてから売るまでには時間がかかる。だから、本屋は本棚に貯金をしているようなものだ。レジには釣り銭がいる。これも貯金のようなものだ。この貯金の分が運転資金である。

店が始まってしまえば日銭が入る。だからそれまでの辛抱だ。最初の仕入れ資金の他に、2ヶ月分の生活費は必要になる。

というわけで、仕入れ資金の他に最低でも400~500万円ほどかかるということになる。

古物商の許可

古書店開業のためにまず必要なものは、古物商の許可証である。これは、各都道府県の公安委員会で発行してくれる。5年以内に古物商の許可を取り消された人や、古物営業法関係の罪を犯して罰金になった人、同じく5年以内に禁固以上の刑を受けた人、成年後見人がついている人、未成年などは許可が受けられない。そうでない人は、まず誰でも取得できると思う。ただし、発行されるまでに一月から二月かかると思った方がいい。

公安委員会というのは警察を監督する役所だが、実際には警察そのものだ。だから、管轄の警察署に電話をして、生活安全課の古物の係にまず相談する。いついつ、何を持ってこいと言われるだろうから、そのとおりにすれば間違いない。申し込みの書類はたいていその場で書くことになる。

古物商の認可を得るためには、住所が必要だ。持ち家の人は自宅で取得することも可能だ。借家の人は、賃貸借契約に「事業用途に使用することはできない」というような条項があるかもしれない。その場合、古物商の事業所所在地として認められないかもしれない。事前に相談しておいた方がいい。

店舗や事務所を借りて営業する人は、その契約書を持って行くことになる。契約してからでないと、古物商の申請ができないということだ。家賃を払っているのだからすぐにでも営業を開始したいところだが、我慢せざるを得ない。契約後すぐに申請できるように、あらかじめ警察と相談して、上手く日程を組んでおくことが肝要だ。

手数料は19,000円。その他に表示札というプレートと古物台帳を許可のあとに買う必要がある。表示札はたいてい防犯協力会の役員が扱っている。防犯協力会への加入は任意ということになっているが、実際は加入しないわけにはいかないだろう。

必要書類などは警視庁のホームページにも記載がある。http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetuzuki/kobutu/kyoka.htm#chin

警察署によってやり方が微妙に違っていたりして、わかりにくいので、所轄の警察署に電話して担当の人と相談するのが手っ取り早い。

行政書士などに代行してもらう必要はない。警察とは今後もおつきあいすることになる。自分で足を運んで、話をした方がいい。

値付けの仕方 2

本は内容(コンテンツ)ともの(メディア)でできている。

コンテンツは著者が書いた原稿である。メディアは編集者や装丁家が共同して作り上げるが、出版社のものと言える。

このうち、古本屋が値付けする上で重視すべきなのはメディアの方である。なぜなら、メディアにはメタメッセージが豊富に含まれているからだ。

まず、本の全体を見る。装丁の雰囲気で、エンターテインメントなのか、知的好奇心を満たす本なのか、まじめな論文なのか、といったことを判断する。本の大きさや、厚みなどをよく見る。

文字の組み方、索引があるか、なども、本の正確を判断する材料になる。カギ括弧でくくられたセリフがたくさんあれば、たいていは小説だ。少しだけセリフがあるものはノンフィクション(ルポルタージュ)であることが多い。

出版社も重要だ。例えば、みすず書房や青土社なら、広い意味での現代思想に属する本だとわかる。柴田書店なら、プロの料理人用の技術書だ。自費出版や補助金で作られた本なども、出版社で判断できる。

帯がついていれば、必ず帯の惹句を読む。帯には編集者がその本を売ろうとしたポイントが書かれている。帯は書店の店頭で読者の関心を引くためにある。発行部数が少なく店頭売りを重視しないまじめな論文などには、はじめから帯がついていないことが多い。

目次も必ず見る。よくできた目次なら、何について書いてある本なのかわかる。何が書いてあるかではない、重要なのは何について書いてあるかだ。結論ではなくテーマが本の心臓である。

前書き、後書きなども重要だ。何のために、何について書いた本なのか記されていることが多い。

本文の文体を少し読んでみれば、どんな読者を想定しているのかわかる。文体は、話し言葉でいえば声のトーンや口調に相当する。

著者がどんな人物かは最も重要だ。著者を知っていれば、どんな本なのか、すぐにわかる。しかし、知らなければ、著者の名前は意味を持たない。

その本の著者は誰なのか、どういう人か。師匠は誰で、弟子は誰か。そういう知識を豊富に持っていることが、古本屋にとっては財産なのである。

その本は、どんな歴史的文脈に位置するのか。いまの社会にとって、どんな意味があるのか。本の空間的、時間的つながりを把握していることが役に立つ。

しかし、本の持つ意味、つまりどういう本なのかということは、必ずしも一つではないし、時間とともに変わってゆくこともある。出版当時に著者や出版社が意図したこととは違う文脈で、古本屋は本を売ってもいい。

値付けの仕方 番外編 メタメッセージについて

例えば「寒いな」と誰かが言ったとする。言葉の論理的な意味は気温の低さを感じているというだけである。しかし、発言の状況に応じて「窓を閉めろ」という命令であったり、「コートを着ていった方がいいかな」という質問であったり、「夕食は鍋物にしよう」という判断であったり、あるいは「おまえのギャグはいつもつまらないから、番組から降ろす」という宣言であったりするかもしれない。

そのことばだけを取りだしても意味は決定しない。意味はコンテキスト(文脈)によって決まる。「寒いな」が命令であるとしたら、そういう命令を下せる関係に二人があるというコンテキストが存在していることになる。

ことばには必ずそのことばの意味を示す「ラベル」のようなものがついている。ラベルは、声のトーンであったり、身振りであったり、発言の状況であったり、そもそも発言すること自体であったりして、セリフとして文字に起こしてしまうと失われてしまうものがほとんだが、必ず非言語的であるとは限らない。何か話したあとで「聞こえましたか」というような場合だ。これがメタメッセージである。

とにかく、メタメッセージは「ものの言い方」として必ずことばのやりとりについて回る。コミュニケーションには必ずメタメッセージがついている。というより日常的なやりとりはほとんどがメタメッセージで行われると言ってよい。

会議や講演会など公式の場面ではメタメッセージのやりとりは控えめになり、メッセージ(ことばの論理的な意味)が重視されるが、親しい間のコミュニケーションほどメタメッセージのやりとりの量が多くなる。例えば夫婦喧嘩などは、「何を言ったか」より「どう言ったか」で始まる場合がほとんどだ。

本のような書き言葉のメディアにも、話し言葉ほど豊富でないにしろメタメッセージが含まれている。次は、いかにそのメタメッセージを受け止めるか説明する。

テーマ : 古本
ジャンル : 本・雑誌

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